[180]乳歯残存、犬歯の異常な生え方の矯正について
□投稿者/ あかね
□投稿日/ 2001/05/06(Sun) 10:45:44
□URL/
はじめまして、こんにちは。
私はカナダ在住の30歳の女性です。 現在、歯科矯正を希望していて、 ネットでいろいろと学んでいる所です。
私の左上部の犬歯は、第一小臼歯と第二小臼歯の調度境目辺りの上部外側から生えています。というのも、乳歯が本来ならその犬歯が生えて来るべき所にまだ残っているからです。犬歯が第一小臼歯を飛び越えるように生えている状態なので、レントゲンで見ると、 その二つの歯の根っこ(というのでしょうか?)がクロスしているのが分かります。
また、第二小臼歯は神経を取り除いていて、歯事体は少ししか残っていません。 第一小臼歯、乳歯も共に虫歯です。
この乳歯を抜いて、犬歯をうまくおさめる矯正は可能なのでしょうか? このように生えてしまっている犬歯でも動くのですしょうか? また、可能であれば、どんな方法がありますか? そして、このような症例はめずらしいのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
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[181]成人期での乳歯と犬歯の位置異常?
□投稿者/ 小石川矯正歯科クリニック
□投稿日/ 2001/05/06(Sun) 19:37:06
□URL/ www.koishikawa.com
<現在の症状?> 成人女性、乳歯の残存(乳歯の晩期残存にゅうしのばんきざんぞん)、犬歯が本来生えてくるべき部位と異なった所への生え方、ということですね。 乳歯が本来後続の永久歯と取って代わる時期を過ぎてもまだそのままでいるということについては次の3つの原因が代表的に考えられます。 (1)後続永久歯がない場合(永久歯の先天欠如せんてんけつじょ)、 (2)後続永久歯が骨の中で正常な位置に位置しておらず、そのため、正常な乳歯から永久歯への交換ができない場合、 (3)後続の永久歯はあるが乳歯の根の一部が骨と癒合し正常な永久歯への交換ができない、などです。 あかねさんの場合は永久犬歯が本来、生えてくる位置でない場所に位置しそのため乳歯も抜けないし、後続の永久歯も異常な場所に生えてきてしまったような症例で、これは珍しいといえましょう。隣り合った歯が本来生えてくる位置を前後で交換してしまうような症状を移転歯(いてんし)といいます。この原因は正確には分かりません。
<このような異常に対する処置について> 考えられるいくつかの方法をお話します。 (1)乳歯を抜歯し、同時に永久犬歯を抜歯し乳歯のあったところに再移植する。 この場合、乳歯を抜いたスペースの量と犬歯の大きさ(犬歯の幅)が一致するか、乳歯抜歯により得られたスペースの量が永久犬歯よりやや大きくないとできません。 (2)乳歯と第一小臼歯を抜歯し、犬歯を正常な位置に移動し、残ったスペースを他の歯の移動により閉鎖する(いわゆる矯正治療)。ただ、矯正治療でこのような処置を計画する場合、全体的なかみ合わせを考えた上でしませんと、左右のかみ合わせが不均衡になり(インバランスな状態)がちです。矯正専門医屁の相談が望まれます。 (3)乳歯を抜歯、犬歯も抜歯、その後乳歯部のスペースは人工的な修復物で補う(一般的にはブリッジと呼ばれる処置です)。 いずれにせよ、矯正医との相談がよいと思われます。 おわりに:また何か質問があればどうぞ。海外からの質問も多数受けています。 海外での生活大変でしょうが、これからの日本人にとっては必要な経験をされていると思います。同胞への支援もよろしくお願いします。では。
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[182]Re[1]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?
□投稿者/ あかね
□投稿日/ 2001/05/07(Mon) 00:47:39
□URL/
大変参考になりました。どうも有り難うございます。小石川先生とこのウェブサイトに 出会えて、嬉しいです。
実は、私の右側上部の犬歯は外側に向いていて、下の歯と噛み合っていません。また、 左下部の犬歯もはみ出した状態になっています。親知らずは左下部以外全て 抜歯されています。全体的にみると、上部中切歯と下部中切歯の中心がずれています。
なので、この際だから、全体的な矯正治療を考えています。
先日、一度だけ会った矯正医の方は、全体的に矯正をするなら、神経まで抜いている 第二小臼歯(クラウンが必要と言われている状態)と乳歯を抜歯して、犬歯と第一 小臼歯は交差したままで、奇麗におさまるようにしようという考えでした。また、 その先生は、このように交差している歯を本来あるべき状態にするのは難しい、 12、3歳の頃ならば可能かもしれないけど...と、言っていました。
小石川先生はどう思われますか?
私個人の希望は、外観的にうまくおさまっていれば、どこに犬歯を動かしても かまわないのですが、実際の所、移転歯のような状況の歯は、本来生えて来る べき所まで動いていくのですか?私の場合は、その犬歯が第一小臼歯を飛び越え ないとその生えるべき所までいきません。距離だけをみると、かなりの長さです。
また、このような歯はそもそも動くのでしょうか?
かなり前に通っていた歯医者の 先生は「こういう歯はがっちりとして動かない。」と言っていました。矯正医では なく、歯科医の方に言われたことですがどうもひっかかって、今はかなり不安です。 いざ、矯正を初め、2、3年たっても犬歯が動かず、結局は抜歯、などということ だけは避けたいです。
参考になるか分かりませんが、この私の乳歯残存、移転歯は母親譲りです。 彼女は最近、どうやら犬歯を抜歯したようです。ちなみに、まだ乳歯は健在なよう です。
それでは、よろしくお願いいたします。
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[183]Re[2]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?:返信#2
□投稿者/ 小石川矯正歯科クリニック
□投稿日/ 2001/05/07(Mon) 11:32:20
□URL/ www.koishikawa.com
<追加された現在の症状?> 上部左側の犬歯、第一、二小臼歯、乳犬歯の晩期残存の状態に加え、上部右側の犬歯もかみ合っておらず外側に向いている、また上部、下部中切歯の中心がずれている。とのことが加わりもう少し具体的なアドバイスも可能になってきました。 アドバイスの前に、よく勉強されているあかねさんへ少しだけ専門用語を解説します。上部=上顎(じょうがくupper jow,maxilla)、下部=下顎(かがくlower jow,mandibule)、中心=正中、正中線(せいちゅう、せいちゅうせん、midline) 、ずれている=偏位(へんい、deviation)、異常な位置にある歯=転位歯(てんいし、malposition)、他にも色々な言い方があります。 このような追加情報に次のチェック事項を検討した上でのアドバイスが必要になります。チェック内容は確認できませんので参考程度にしておいて下さい。 (1)上下顎骨の前後的、垂直的、水平的(顔の横方向という意味)の異常がありますか?。具体的には出っ歯?受け口(反対咬合)?、前歯が開咬(かいこう、咬んだ時奥歯は接触するが前歯は過度に接触しない、ソバなどがかみ切れない)。 (2)下顎を動かすと、耳のあたりに音がしますか(パキ、ポキ、ミシ、など)、口があきにくいことがありますか?、口をあけると痛いですか? (3)上下顎の歯列(しれつ、奥歯から反対側の奥歯までの歯並び,dental arch,exp. lower arch 等と使う)の状態はどうですか?すきっ歯、重なり会うような歯(叢生そうせい、crowding)、上下のかみ合わせ(咬合こうごうocclusion) の状態は、正中線の偏位は。 (4)鼻から顎にかけての口元の突出感は?などなど、あかねさんの追加事項にさらにこのようなチェック項目が加わらないと適切に近いアドバイスは難しいのが実情です。(本年度、小石川矯正歯科クリニックで、このような文字情報でのアドバイスを改善するためのシステムを考えていますので御期待というところです=余談)。
<提示された治療内容について> (1)全体的な矯正(そのようがよさそうです) (2)第二小臼歯、乳歯を抜歯し交差した状態の歯並びにする(ちょっと考えますね) その理由:(第二小臼歯の神経がないという理由ですが、上顎左側の2前歯、第一小臼歯、犬歯、第一大臼歯、第二大臼歯という配列になるわけですね。この場合注意すべきは、犬歯の役割です。犬歯は下顎を動かす時(食事や会話など)下顎の運動路(うんどうろ)のガイド的な役割を果たす重要な歯です。第一小臼歯と犬歯とは形がまったく異なる歯であり、第一小臼歯が犬歯の役割を果たすためには犬歯の形に修正が必要になります。多くは第一小臼歯の裏側(中側、口蓋側こうがいそく、palatal side)の歯の突起(出っ張り)を削り犬歯の形に似せます。さらに犬歯を第一小臼歯の役割を果たさせるのはやってやれなくはありませんが難しく、治療終了後に犬歯の形を修正するために人工的な歯を作り(第一小臼歯の形を持った修復物)かぶせるようになることも少なくありません。時としてこの犬歯は神経を除去することもあります(人工的な第一小臼歯をかぶせるため)。 少し専門的になりましたが、この治療計画を指示した先生に次の点を確認しておくとよいと思います。 a.先生が示した治療計画でどのようなかみわせになるのか? b.そのような治療を選択した場合の予測模型(予測模型、setup model,治療素終了時にどのような歯並び、かみ合わせになるかを担当医がはじめにとった石膏模型(せっこうもけい,plaster model)から作るもの)を作ってもらいたい旨、話し治療を開始する前に終了時のかみ合わせを確認しておく 先生はいやがるかも知れませんが、そのようにリクエストしたらどうでしょうか? 私見ですが、かみ合わせの機能はとても重要です。第二小臼歯がひどい状態でとても保存できないならば別ですが、 a.残存乳歯+健康な第一小臼歯の抜歯、 b.あるいは第二小臼歯を抜歯し第一小臼歯を再移植する c.乳歯と犬歯を抜歯し第一小臼歯の形を犬歯に似せるようにする、乳歯のスペースは矯正治療で閉鎖する。むろん前提的な矯正治療の中でしょうから、反対側は第一小臼歯の抜歯を選択されるでしょう。また下顎歯列においても抜歯の選択はあると思いますが。 以上のような計画も考えられるでしょうから、その点を十分に話し合ったらどうでしょうか? (3)前にある第一小臼歯を飛び越え犬歯を前方に移動する(結論的にいうと無理でしょう、例えそれがてい年令であったとしてもいままでこのような報告は見ません。その理由を述べますとかなりな長いスペースが必要になりますので省きます) (4)おかあさまの犬歯の抜歯の選択(適切であったと思います)
では。急ぎ返信していますので時々誤字脱字がありますが許して下さい。
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[185]Re[3]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?:返信#2
□投稿者/ あかね
□投稿日/ 2001/05/09(Wed) 00:32:00
□URL/
とても分かりやすい説明とアドバイス、そして専門用語を教えて下さって どうも有り難うございました。とても感謝しております。
こちらの矯正医に提示された治療内容について、小石川先生のおっしゃられた点を とくに確認し、矯正を受けようと思います。
左上顎の犬歯についてですが、このように、異常な位置に生えている犬歯でも、 矯正すれば、「動く」ということですね?隣の第一小臼歯を飛び越えることは 出来なくても、下に移動するとか、少し横にずらすなどは出来るのですね?
お忙しいところ、何度も同じような質問をして、申し訳ございませんが、 この辺を再度確認させて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、これはただの疑問なのですが、私のように乳歯が残存していて、 犬歯がとんでもないところから生えているという状況は 乳歯を適切な時期に抜歯いていたとしたら、回避できたと思われますか?
それでは。
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[187]Re[4]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?:返信#3
□投稿者/ 小石川矯正歯科クリニック
□投稿日/ 2001/05/10(Thu) 12:18:03
□URL/ www.koishikawa.com
<犬歯の移動について> 今野犬歯の位置を少し内側に、あるいはした方向に移動することは可能と考えてもよいでしょう。ただし現時点での犬歯の状態をみれませんので、次のような場合には移動できたとしてもしない方がよいと考えます。といいますのも歯の移動は、歯根を支えている骨(歯槽骨しそうこつ、alveolar bone)と歯根の周りにある歯根膜(しこんまくperiodontal membrane,ligament)がまず正常であることが条件になります。さらにあかねさんの犬歯の歯肉(しにくgingiva)の状態、具体的には歯根部の露出があるか?ないか?でこの犬歯を移動することを躊躇せざるを得ない場合があります。歯頚部(しけいぶcement-enamel junction)という歯根と歯冠(しかんtooth crown)の境の部位に歯肉が付着していればよいのですが、あかねさんのような犬歯は時として歯根が一部露出しているようなことも少なくありません(歯肉退縮しにくたいしゅくgingival reccesion)。もしこのような状態があれば犬歯の移動に伴いさらに歯肉の退縮が生じる可能性が高くなり移動後の犬歯の安定性が得られなくなるようなこともあります。むろん歯肉を再付着させるための手術もありますが。この点は今の先生によく質問されるとよいでしょう。 歯の移動は歯根を支えている骨=歯槽骨の幅を越えてまで移動は出来ません。歯槽骨は列車のレールのようなものです。ただし歯槽骨は歯の移動様相に関連してその形が傾いたりするようなことはあります(詳しくは専門的すぎて止めておきます)。
<乳歯の残存と犬歯の関係> 文面から考えると、早期に乳歯を抜歯しておいても現在のような状態でたように思います。参考として現在26年間の矯正臨床で一つ経験したのは、下顎の右側に埋伏(まいふく、骨の中に埋まっていてしまい生えてこないような歯)していた歯が数年後、反対側へ移動していた実例がありました。遊走犬歯(ゆうそうけんし)とよばれます。このような実例を見ますと早期の抜歯により現在の犬歯の位置が改善していたかも知れません。分かりません。
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[189]Re[5]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?:返信#3
□投稿者/ あかね
□投稿日/ 2001/05/11(Fri) 01:46:50
□URL/
お忙しいところ、大変ありがとうございました。先生に説明して頂いた点をよく頭に入れて、こちらの矯正医にいろいろ質問してみます。
犬歯についてですがとても興味深いですね。自分の事とはいえ、どのように変化するのかちょっと楽しみです。(もちろん、ちゃんと外観的にまともになってもらわないと困りますが。)
不安はありますけど、今以上に歯並びが悪くなることはないだろうと思うので、とにかく矯正します!
話は変わりますが、矯正について、いろいろ検索していたら、 一般的に矯正治療は2年から3年かかるのが普通ですが、頭蓋骨の調整、 頸椎、顎関節の調整を行いながら矯正治療をおこなうと10カ月から1年 ぐらいで治療を終了できるということを実践されてるクリニックを見つけました。
私には、もちろん専門的なことは分かりませんけど、治療の短縮化ができるのであれば それに超したことはありませんね。これから、2、3年間のbracesを付けての 生活、頑張りたいと思います。
本当に、どうも有り難うございました。
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[190]Re[6]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?:返信#4注意
□投稿者/ 小石川矯正歯科クリニック
□投稿日/ 2001/05/11(Fri) 09:20:31
□URL/ www.koishikawa.com
<治療期間が短縮する、頭蓋骨、頚椎、顎関節の治療を併用した矯正治療?> メールの中に上記の文章がありましたが、この治療で期間が1年程度に短縮するということは基本的にはありません。治療の短縮は次のような事柄の集積です。 (1)的確な診断 (2)効率のよい歯の移動計画 (3)患者さんの治療に対する協力 (4)患者さん個人の持つ歯の移動に対する適応能力(ストレスに対する許容度) (5)移動対象となる歯ならびに周囲組織の健康度 (6)日常生活の生活管理(食事、睡眠など) 今回のメールを見て追加した方がよいと思われたことは、かみ合わせの異常で確かに姿勢が悪くなったりすることはあります。例えば直立した時、左右の肩の線が斜めになっている、顎関節の動きが悪い変だ(音がする、口が開きにくい、開けると顎のあたりが痛むなど)、などです。これらは原因がかみ合わせの悪さからきているのであれば、矯正治療により軽減することは少なくありません。従って、あかねさんがいうように頭蓋骨、頚椎、顎関節の治療で矯正治療のスピードがあがることはありえません。もしそのような治療法があれば教えて頂きたいと思います。また症状によっては通常の矯正治療の内容で1年前後で終了する例もあります(特殊な方法と呼ばれることをしなくとも)。 おわりに:私がここで伝えたいのは、医療というものは特殊な方法でどうのこうのというよりも、当たり前の治療内容(矯正医の常識)で治療を行うことがとても大切なことだということです。前述しましたように治療のスピードアップは(1)ー (6)が基本であることを意識しておいて下さい。では。
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[193]Re[7]: 成人期での乳歯と犬歯の位置異常?:返信#4注意
□投稿者/ あかね
□投稿日/ 2001/05/12(Sat) 00:24:23
□URL/
大変分かりやすい説明をして頂きまして、ありがとうございます。 私は、矯正に前向きに取り組んでいこうとおもっております。 今は、歯磨きのやり方などを、見直しているところです。 また、育児もしておりますので、ストレスの対処法なども、 考えるつもりです。
ところで、「治療の短縮化」について書かれている、某クリニックの HPのことですが、もう一度読んでみたところ、やはり 専門知識のない私には、「短縮化は可能なんだな」という印象を 受けてしまうような、表現がされています。
ですから、先生の(1)ー(6)のご意見を知ることが出来て、 よかったと思います。本当にありがとうございました。
それでは。
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