ひるま矯正歯科
〒190-0012 東京都立川市曙町2-9-1 菊屋ビルディング2F
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― 一般歯科でなく矯正歯科を選ばれたのは何故ですか
学生時代に決めたことですね。父は僧侶でしたが、僕は三男坊。自由に職業を選択できる立場にあったので、自分なりに考えて弁護士か医師かと。母が歯科医師を勧めていたこともあって日本歯科大に決めましたが、入学してみると歯科というのは自動車教習所みたいなところだとがっかりしました。つまり、歯を削ったりする技術だけを教えるところだったんですね。それがとてもイヤだと思っていたら4年の時に矯正学の講義が始まりました。教授は榎恵先生という非常に有名な先生。当時すでに日本矯正歯科学会の大重鎮で矯正学界の中興の祖ですね。この人を知らなきゃもぐりという、この先生の講義を受けて自分の進む道は矯正だとはっきり決めました。
― どういう講義だったのですか
歯科の講義が技術に徹していたのに対して、矯正治療というものは人間の心の問題だという講義なんですね。矯正っていうのは、患者さんが矯正をしようと思ったのは何故か、本当に治してもらいたいと思っているのは何処かということを理解し、矯正という手段でもって、そこを治すということなんです。例えば歯並びが悪いためコンプレックスを持っている人がいるとすれば、矯正をすることによって、そのコンプレックスを取り除いてあげることが矯正治療なんだということですね。本当に感銘を受けました。卒業後医局に残った時も、開業してからも榎先生の講演録や書物をバイブルのようにその時々に読みました。生き方そのものについての影響も受けましたね。
― 治療の進め方などでこだわっていることはありますか
矯正は技術と知識と経験であるといわれていますが、最後は心だと思います。心が入っているかいないかによって矯正の最後の仕上げに違いが出ると考えています。 外国の有名な矯正医師が言った言葉に「Orthodontics is an art.(矯正は芸術だ)」というのがあって、それを日本に持ち込んで実践したのが前述の榎先生ですが、それに対抗して「Orthodontics is a science.(矯正は科学だ)」と言った人がいました。しかし、目標をサイエンスにおいてしまうと、角度や寸法がこうなったから治ったと医者側の論理で治ったということになってしまう。それは治す側の治ったという証拠、あるいは基準みたいなもの。数値の問題じゃない、測れないところを含めた満足感というものを目標におかなければいけないんです。「art」というところは、heart や emotion、humanity に置き換えてもいいと思いますが、術者だけが満足する治療であってはいけない、患者さんが満足する治療であることを目標にしています。