みせ矯正歯科

― 一般歯科医ではなく矯正歯科医になろうと思ったのは何故ですか
大学を卒業して、矯正の医局に残りましたが、矯正一本でやっていこうとは思っていなかった。一般歯科と矯正歯科、どちらもやっていたんです。1976年に、与五沢文夫先生との出会いがありました。矯正をやっていこうと思ったのは、その時からですね。与五沢先生は技術はもちろん人間的にもとても素晴らしい先生で、大学では教えてもらえなかった矯正の魅力を教えてくれたんです。
兄が松山で一般歯科を開業していたので、退局後そこに勤めましたが、与五沢 先生のコースを受講した頃から、なんとか与五沢先生のように矯正専門でやっていけないかなとね。でも、1979年当時、まだ矯正歯科専門でやっている医院は愛媛県にはなくて、銀行に資金の相談に行っても話も聞いてもらえなかった。矯正専門医院でやっていけるとは思ってくれなかったんですね。しかし、開業したら最初の年には100人も患者さんが来院したんです。認めてもらえた気がしてね。嬉しかったです。
― 矯正の魅力とは?
一般歯科の治療というのは、快復でしょう? 矯正治療というのは、新たな創造なんです。患者さんの幸せや満足というのが、一般歯科とは全然違う。とても大きいですね。一般歯科で痛みをとってもらったら患者さんは喜ぶんだけど、それ以上のものはない。一般歯科を5年ぐらいしているから、違いがよくわかるんです。矯正というのは、患者さんの人生にも関われる職業だと思いますね。
― 患者さんに接する時に気をつけていることはありますか?
開業してから10年ほどは年間150人ぐらい患者さんが来院されていました。5台あったユニットがずっと埋まっていて、次々に治療をしたんですが、今思うとその頃は、患者さんとのコミュニケーションが十分にとれていなかったんじゃないかな。現在は、一人一人の患者さんと十分に向き合って、治療の説明をしたりという時間が本当に必要だと感じ、とても大切にしています。